除菌をしてくれる優しい家族?

職場でも通勤の際のバスの中でも、マスクをしていない人は皆無。
ウィルスが流行し始めた時、街からマスクと消毒液が消えた。
マスクをしていないと白い目で見られる、どうしよう、娘がいるのに。

マスクを買えなかった私は、バスに乗る際はハンカチで鼻と口を押さえるようにしていた。
ネットで探してもマスクと消毒液は完売、仕事中もネットで探したのだが買えなかった、バスを利用するのが億劫だ。
帰宅した私は「ただいま」、私が帰ったことに妻と娘は気付いているだろうが「おかえり」はない、「おかえり」がなければ「いってらっしゃい」もない、家族とはこの1年会話をしていなければ目を合わせてもいない。

家族が寛いでいるリビングに私が行くと、蜂の巣をつついたように妻と娘は各自の部屋に行ってしまい、リビングで私は1人。
ウィルスが流行し始めて1つだけ良いことがあった、1年ほど話をしていない娘が「恥ずかしいから、これを使って」と言い、私にマスクをくれた。
念願のマスクが手に入った、娘の声が聞けたのも良かった。

翌日は娘がくれたマスクをしてバスに乗ると、顔見知りの乗客が声を掛けてくれた、「素敵なマスクですね」と。
私、「娘がくれたんです」
顔見知りの乗客、「良い娘さんですね」
私、「はい」
顔見知りの乗客、「育て方が良いんですよ」
私、「・・・(苦笑い)」

娘から貰ったマスクを、カギと一緒にリビングの壁に掛けておいた。
翌朝、出勤のために壁に掛けておいた家のカギとマスクを取ると、マスクが湿っぽい、どうしてだろう?帰宅してから10時間は経っているのに。
湿っぽいと感じたのは、その日が始めてではない、ウィルスが流行してからは、私が着る洋服は常に湿っぽい、どうしてだろう?
ウィルスが流行し始めたのは春、気温が高い春や夏の間はズグに乾くため、あまり気にならなかったのだが、気温が下がる時期だと湿っぽい洋服を着ると寒い。

風呂に入ろうと思ったが、忘れものに気付きリビングへ行くと、妻が私のマスクに「シュッ、シュッ」と除菌スプレーを掛けていた。
もしかしてと思い、玄関へ行くと私のコートに娘が「シュッ、シュッ」と除菌スプレーを掛けていた。
私、「除菌をしてくれているの?」
娘、「・・・」
私、「ありがとうね」
娘は風呂に入るために全裸になっていた私に向かって、除菌スプレーを「シュッ、シュッ」。
娘は反抗期だから仕方がないのだが、今年で40歳になる妻は、いつになったら私に対する反抗期が終わるのだろう?